【書評】シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成【安宅和人】

こんにちは、だーやまです。

2020年、多くの人に読まれたビジネス書「シン・ニホン」を今更ながら読んでみたので、そのアウトプットをしてみます。


なぜ「シン・ニホン」を読んでみたのか?

・実家に帰った時、父親にすすめられた。
・「これからの時代にはどのような人材が求められるか」という事が書かれてある。
・こう言われたのなら、読んでみるしかない、という事で読み進めることに。

※ちなみに、この本は「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」というコンテストで1位を獲得している。

「シン・ニホン」著者 安宅和人さんについて

・慶應義塾大学環境情報学部の教授 兼 ヤフー株式会社のCSO(Chiel Strategy Officer)。
・東大の修士課程修了後、マッキンゼー入社。その後はイェール大学でPh.Dを取得。
・政府(内閣府)の公職にも就いており、専門のデータ・AIに関する提言も手掛けている。
・シン・ニホン以外の著書に、2010年に出版された「イシューからはじめよ」がある。

ブログ「ニューロサイエンスとマーケティングの間」もたまに更新してる模様。

安宅さんについてもっと知りたい方は、以下の動画も並行して見てみるといいかも。
特に最初の「シン・ニホン」を見ておくと、本の内容が理解しやすくなると思う。

シン・ニホン – 安宅和人

【シン・ニホン】落合陽一×安宅和人「日本再生への戦略会議」(期間限定ダイジェスト)

【落合陽一×安宅和人】コロナ後の「シン・ニホン」について考える。

シン・ニホンから風の谷へ|安宅和人

ヤフーCSO安宅和人×鈴木寛が語る!リーダーに必要な「AI」「データ」の知識と活用法

「シン・ニホン」の内容について

「シン・ニホン」は全6章あり、内容は以下のようになっています。

①データ × AIの観点から見た現代の概要。何がどう変化したのか。
②データ × AIの観点から見た日本の現状。および今後の指針について
③データ × AIの時代では、どのような人材が求められるのか
④上記の人材をどう育てるのか。要点や初等中等教育の刷新、専門家やリーダー層の育成。
⑤ここまでの内容を踏まえ、予算やリソースの配分をどう考えるべきか。
⑥地球環境や持続可能な世界。著者の「風の谷」という取り組みについて。

「AI × データ」「日本の再生」「人材育成」のどれかに引っかかれば、読んで損はない一冊。
ページ数は437と比較的多めなので、パラパラと読むにはオススメ出来ません。

逆に、1冊の本にとことん向き合いたいのであれば是非読んで欲しい一冊。
僕は旅行の行き帰りで読みました。それでも全部は読めなかったけど。

『シン・ニホン』アンバサダー」というオンライン読書会もあるので、本の内容に共感したら参加してみるのもいいと思います。
現在4期まで続いていて、5期の募集を受け取るにはこちらに登録する必読がありそうです。

現在の世の中の変化

・計算機、情報科学が進化している。ビックデータ時代の到来。
・「情報の識別」「予測」「目的が明確な活動の実行過程」の自動化
・指数関数的な思考が不可欠になっていいる。
・機械翻訳の世界が人間のプロに肉薄している。
・「データ × AI」が、ビジネスとマネジメントに大きな影響を及ぼしている。
・「ここだけは」という要素を徹底的に作り込み、勝負所でないものは外部モジュールを繋いでいく。
・多くの商品やサービスは、販売後も収益が発生するようになる。
・あらゆるものがIOT化し、リアルタイムでのメンテンスや顧客対応が可能になる。
・機械にできない人間的な接点(ヒューマンタッチ)が、ビジネスにおける価値提供の中心になる。
・人間もデザイン可能になっている。(デザイナーベイビー)
・世界経済の重心がアジアに戻りつつある。
・主要国が人口調整局面に入っていく。
・「妄想し、形にする」ことが富を生むようになっている。(未来=夢×技術×デザイン)
・人がいいなと思うことを先に感じ、それを自分なりに表現できる力と、こうした人を育てていくことが重要に成る。



日本の現状

・企業価値ランキングにおいて、日本は中韓に敗北している。
・ここ25年、日本はGDP(生み出す付加価値の総和)を伸ばせていない
・一人あたりGDPは30位前後、一人あたり生産性も長らく半ば一人負け
・日本の産業は、ICP含めやるべきことをやれてないだけ
・2017年時点で、3世帯に1つが貯蓄を持っていない。最低賃金の伸び悩みが原因としてあげられる。
・2035年前後には、貯蓄を持たない世帯が50%になるとされる。
・日本人男性の家事・育児労働時間は日に41分。中国男性の半分以下。(女性は他主要国と同レベル)

・リーダー層に女性が少ない。国公立大学の学長86人中、女性は4人。経団連会長・副会長19人中女性はゼロ。
・国会議員の女性比率は10:1となっており、ロシア(15.8%)、エジプト(14.9%)より低い。
・論文のインパクトにおいて、05年では3位だったが今では6位。
・計算機科学ではトップ100に日本の大学は入ってない。(トップは東大135位)
・深層学習分野での論文数は米中がトップを争う中、日本は遥か下、他の主要国の中にいる。
・Uber、AirBnbなど個人資産を活用するシェアリングビジネスに制限がかかっている。
・送金、割り勘サービスも銀行業法による規制がある。
・自動走行車やドローンに関しては、日本の街に適していない。
・日本の電気代は米国より5〜10倍高く、データの処理力において厳しいものがある。
・ビックデータ系の技術プラットホームは海外発のものが殆どで、日本企業のプレゼンスは低い。
・大量データを処理するデータエンジニアリングに熟達した人材が足りない。
・大学進学者のうち理工系は2割強。(韓国やドイツは大卒の3分の2が理工系)
・米国には500以上のデータサイエンスに関する大学教育過程があるが、日本は2つのみ。

自分の経験と提案を書いてみる

著者は第4章で、「数学の力を再構築する」という主張を述べている。
具体的には、高校までで数Ⅱ+Bまでで学ぶ以下の内容を身に付けるべきと主張している。

・分布、ばらつき、確率的な概念
・三角関数、指数関数
・二次曲線
・数列
・空間座標、複素数平面、標座標的な概念
・線形代数の基礎となるベクトル、行列
・極限、微分、積分

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しかし、自分は通信制高校卒業→私大文系受験という経験から、高校で数学を学んだこと自体がほぼない状態だ。
この状態から数学を学び直したい場合、どうすればいいだろう?と考えてしまう。
(いっそのこと数学を捨てればいいのでは?と言ったら、著者に呆れられる気がする…)

また、自分のように、ここまで数学的素養がないとしても、上記の内容を全て身に付けている学生は少ないらしい。センター試験で数Ⅱ+Bが普通に使えるレベルの生徒は全体の2割強程とのこと。

大学生や社会人の「数学学び直し」を促進する政策、取り組みが求められるのでは?と感じる。
例えば「ビジネス数学検定」のような検定を昇進基準の1つに加えるなどして、数学を学ぶモチベーションを高めてはどうか?と思ったりした。

ビジネス数学検定。

3級が学生〜新入社員レベル、2級がマネジメントレベル、1級がデータサイエンティスト入門者レベルになってる。
高校数学の内容というより、ビジネスで扱う項目を万遍なく学ぶ内容という印象。